ビスク
ビスク=焼き締め とは?
正しくは「締め焼き(しめやき)」が正確な用語ですが、現代では「焼き締め」の方が定着。

焼ものの種類のひとつ、【ビスク】(=焼き締め)。
陶磁器には、ガラス質の液体【釉薬】を表面にかけて焼き、光沢を出したり、器をより丈夫にする工程がありますが、焼き締めの場合は、この釉薬をかける工程がありません。
その代わりに、しっかりと窯の中で高温で焼き上げられます。
焼き締めの代表的なものでは、備前焼 や 信楽焼 が挙げられます。
焼き締め陶芸は、登り窯や穴窯を使用し、1,200~1,300℃ の高温で長時間焼きます。
命を吹き込む大切な工程。
火は最低でも7日間、長い場合は10~12日間もの間焚き続けられ、窯に火が入っている間は交代で窯を見守り続けます。
この窯の中で焼いている最中に、土の中の鉄分や酸化還元といった化学反応、自然にかかる木灰などが自然釉となって溶けたものが、趣ある色や模様として偶然と器に描かれていくというわけです。
素朴な土の色が温かく、窯の炎で自然に描かれた表情や景色が、味わい深い器ですね。

写真上:備前焼
特徴ある茶褐色の地肌は、粘土に使われる鉄分によるもの。
微細な気孔があり通気性に優れているため、きめ細かな泡ができることから、最近では、ビアカップとしても重宝されています。

写真上:信楽焼
長石を含んだ良質な粘土を使用し、大物の作品作りにも適しています。
登り窯による高火度焼成中に薪の灰がかかり、自然釉の淡黄、緑、褐色など様々な色合いの作品づくりができます。
素焼き と 焼き締め の違い
素焼きも、釉薬のかかっていない陶器のことをいいます。
しかし両者は同じでなく、素焼きと焼き締めの違いは、ズバリ温度。
焼き締めは 1,000~1,300℃ の高温で焼くのに対し、素焼きは 700~900℃ と随分温度は低くなります。
そして、素焼きは多くの場合、素焼き後に釉薬をかけて再度焼き上げます。
その他の違いとして、素焼きは焼き締めに比べて、割れやすいのが特徴。
ただ、水をよく通すため水はけが良く、植木鉢などにピッタリです。
それに対し、高温で焼き上げる焼き締めの場合は、素焼きより割れにくいですが、水もあまり通さないという特徴があり、食器やカップとして使うのにとても最適です。
以上の通り、素焼きと焼き締めは一見同じようもののように思いますが、焼成時の温度が異なるため、そのディティールも全く違うものになります。